2022.07.27
【特集記事】リングネット落石防護柵 柔構造物工法研究会
リングが生み出す強力・強靭な性能 |
柔構造物工法研究会は、リングネット落石防護柵に代表される、道路・鉄道・砂防・
林野等での防災•減災対策の普及に取り組む研究会である。1997 年12 月発足、2022
年6 月現在の会員数は52 社、10 種類の工法を取り扱う。研究会の活動と技術について
木村技術委員長にお話を伺った。
リングを知恵の輪のようにつないだネット
Q 研究会設立の経緯を教えていただけますか。
当研究会は、スイスFATZERAG 社が国の研究機関と共同開発したリングネット落石防
護柵工法を日本に導入することから始まりました。日本の条件に合わせるため、(公財)
鉄道総合技術研究所と東亜グラウト工業( 株) が共同で実験を繰り返し技術を確立、国内
での普及を考え、この技術に賛同いただける複数の法面工事業者等とチームを組んで研究
会を発足させました。当時はリングネット落石防護柵1種類でしたが、研究や活動を全国
展開した結果、様々なニーズにこたえられる工法を開発、現在は10種類の工法を展開し
ています。
1997 年、リングネット落石防護柵の初めての現場となった鉄道があります。何度かの
落石捕捉と補修を繰り返し、20 年以上たった現在もまだ、山岳部の鉄道を守り続けてい
ます。
高性能・高メンテナンス性・高施工性の3拍子 |
Q 柔構造物工法はどんな特徴がありますか。
高い捕捉性能
落石・土砂の実物実験を繰り返し行い、構造等を決定します。捕捉性能を高めるた
めの試行錯誤も休まず続けています。 高知県に設置した強靭ワイヤーネットは、計
画の約2 倍の土石流が発生した際、一部傾倒しながらもその大部分を捕捉し下流の民
家を守った良い事例ですが、そこからも改良のヒントを得ています。
落石補足の様子
高いメンテナンス性
各リングがひとつひとつ独立しているため、損傷があった場合でも全体を交換せず
損傷箇所のみ交換が可能です。そのため修復が早く経済的。また、リングネットは所
々シャックル止めになっており開閉も可能で、全てのネットをはずさず捕捉した土砂
のみを除去し、部材を再利用できる利点があります。
高い施工性
500kg 程度のボーリングマシンを搬入と設置ができれば施工可能です。大型機械が
不要で、人力での施工も可。また、1.5mの最小進入路幅があれば、急峻な山地でも資
機材をモノレールで搬入し工事が可能です。なお、これら工法の特徴は当研究会が扱う
10 種類全ての工法にほぼ共通します。
Q 特色がある工法の紹介をお願いします。
Q 今後の柔構造物工法についてお聞かせください。
柔構造物工法全体の工事実績は全国で1,700 件を超えます。先人の功績に感謝
しつつもそれに甘んじることなく、更なる改良を加えていく所存です。
また現在は、構造物の法定点検が義務化された事を受け、これに対応できるよう
点検の体系化とマニュアル類の更新を進めています。
落石や土砂災害による被害減少と、安心・安全な社会の実現のため、柔構造物
工法研究会は、これからも会員一丸となって邁進してまいります。
ピックアップ情報
- S・シールド HK-170009-VR 東京製綱(株)
- 循環式ハイブリッドブラストシステム QS-150032-VE 循環式ハイブリッドブラストシステム工法協会
- CUP工法 KK-110039-VE(旧登録) (株)CUP商会
- 循環式ブラスト工法® 建設技術審査証明 第2201号 ヤマダインフラテクノス(株)
- アトムハードカラー 水性エポタフ アトミクス(株)
特集
- NETIS登録技術トピックス 取材記事、VE・VR登録技術、推奨・準推奨技術等のNETISに関する様々な情報を紹介
- 資材・工法データシート 個々の建設資材や工法について、その概要を写真・図面入で解説
- 公共工事採用実績 長寿命化やコスト削減等で工事を支えるメーカー製品の公共工事採用実績を紹介
- 未来を設計する建設コンサルタント 建設コンサルタント業界の現状と未来を探る
- 建設工法 NETIS 登録技術の中から選定した技術情報をダイジェスト形式で収録
- 研削材の再利用を可能にしたブラスト工法 一般社団法人 循環式ハイブリッドブラストシステム工法協会