2019.01.16

Vol.7  大日本コンサルタント株式会社

 

技術・デザインともに強みを発揮してきた橋梁分野


 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 インフラ整備において、環境や防災など複数の分野にわたって事業を展開する総合コンサルタントにも強みを発揮してきた特定の分野がある。

 

大日本コンサルタントの場合は橋梁である。鋼橋やコンクリート橋、さらに構造形式を問わず、わが国の橋梁建設分野をリードしてきた。

 

 

築地大橋

 

 

 

同時に新たな領域にも挑戦をし続け、半世紀を超える歴史を経て、わが国を代表する総合建設コンサルタントへと成長してきた。

 

 

 

   拡大を続けてきた事業分野

 

 大日本コンサルタントの創業は1963年。橋梁設計部門を母体としてスタートした。

 

 

かつしかハープ橋

新湊大橋

 

 

 

そこから、周辺分野に挑戦し着実に事業範囲を拡げ、創業当初から「日本を代表する建設コンサルタント」になることを目指してきた。半世紀余りの歴史の中で、その地位を築いてきたが、現在でもこの分野だけはトップであり続けたいというのが創業以来の主力である橋梁だ。売り上げの約5割を占める。

 

橋梁分野での強みはどこにあるのか。隅田川にかかる新豊橋や築地大橋、首都高速道路のアクロバティックな改築事業である板橋熊野町JCT改良など、最近でも多くの実績を積み増しているが、競争力の強みを発揮・証明したといえるのが、全国規模の設計コンペで優勝した岐阜県の各務原大橋である。

 

木曽川を渡る橋長594mの橋で、各務原市が2005年に実施した全国規模の設計コンペに応募した21社(グループ)の中から選ばれている。

 

 

各務原大橋

歩道から見るフィンバックの連なり

 

 

橋梁断面図(予備設計時)

 

 

 

採用された橋の形式はPC10径間連続フィンバック橋である。断面を見ると、橋脚からUの字型に車道と歩道の間に迫り出したフィンバックは構造体でありながら歩行者を車道交通から守る役割も果たす。ゆるやかに波を打つデザインは歩く楽しみに繋がっている。土木学会の田中賞(作品部門)とデザイン賞の優秀賞を受賞している。

 

2018年5月に開通した天城橋でも、会社の強みをいかんなく発揮している。この橋では、隣接する歴史的に重要な橋との対比において、40年間の技術の進歩を感じられることが求められ、構造的にも新しい試みを適用した鋼PC複合アーチ橋を創案して応えている。

 

隣接する天門橋は、観光ルートとしても名高い天草5橋の最初の橋で、1966年に完成している。最大支間300mは、当時、連続トラス橋として世界一であり、第1回の土木学会田中賞も受賞していた。

 

この橋に対するリスペクトを表現する方法について、事業者との議論を何度も重ねた。結果、トラスの繊細さとの対比が鮮やかで構造シルエットをシンプルなラインで構成する、鋼PC複合アーチ橋が実現した。その名の通り鋼とコンクリートの複合橋で、中央支間の鋼箱製アーチを両岸のアバットで支え、側径間部はPCラーメンとする形式だ。橋長463m、支間長348mはソリッドリブアーチとして日本一である。加えて、部材数が少なくメンテナンスしやすいなど経済性にも優れている。

 

 

天城橋(てんじょうきょう)

 

 

 

一般図

 

 

 

   各分野が連携しながら進化を目指す

 

これらに代表されるように創業以来の得意分野である橋梁を中心としながらも事業分野の拡大を続け、現在では調査、環境、景観、道路・交通・都市地域、構造、保全、防災、情報、海外の9分野に及ぶメニューがある。

 

そのうえで互いに連携しながら進化を続けている。しかも先進性も追求している。このためエンジニアが個性を発揮して自由に研究できるよう支援している。

 

例えば、2004年に発生したインドネシアのスマトラ沖地震では、津波による橋梁の破壊状況などを踏査し、メカニズムを研究した。

 

当時の日本では、スマトラ級の大津波による被害想定は十分ではなかった。しかし、その後、東日本大震災で津波によるかつてない被害が発生し、研究成果が生かされることになった。

 

当初は、事業に直接結び付かない地道な努力が結果として、津波については国内で最先端の研究実績があるコンサルタントとして活躍することができたのである。

 

環境分野では、長年にわたり培った地域振興の経験を活かした新たな取り組みとして水素ステーションを展開するとともに、燃料電池を開発し販売する清流パワーエナジーも設立している。低炭素社会の実現に向けて各自治体では再生エネルギーをどう採用するか検討している。水素ステーションも各地で整備されるようになってきた。低炭素社会づくりから街づくり全体へと事業展開することを視野に入れている。

 

再生可能エネルギー事業としては、静岡県小川町の木質バイオマスによる「森の金太郎発電所」を運営するふじおやまパワーエナジーを設立している。環境と経済の好循環を目指して間伐材による木質ペレットを電熱源に利用したものである。静岡県の「ふじのくにフロンティア推進区域」内にあり、小川町の再生可能エネルギーを活用した産業拠点施設でもある。

 

 

森の金太郎発電所

 

 

 

   「半歩先」の先進性を追求する

 

建設コンサルタントがエネルギー事業とは異分野にも見えるが、目指しているのは「半歩先」だという。

 

先行投資をすることによって新たな事業の展開に結びつけていく。事業に関わる過程で人材も育つ。そのためには分野を問わない。

 

インフラ技術研究所と呼ぶ部署も設置した。保全エンジニアリング、特殊構造、空中物理探査の調査研究部と地域マネジメント、川づくり、ICTソリューション、景観デザイン等の多彩なチームの集合体だ。分野を越えた横断的な組織で、イノベーションが生まれやすい環境を保持し、次の展開に向けた研究に取り組んでいる。

 

 

空中物理探査

 

 

 

国内での実績を活かして海外へも進出している。

 

ベトナムの大動脈となったニャッタン橋を手掛け、土木学会田中賞も受賞している。さらに道路改良事業や橋梁の維持管理プロジェクトなどを展開。ベトナムには子会社も設立している。

 

 

ニャッタン橋(ベトナム)

NE-VIETNAM社(ベトナム ホーチミン)

 

 

 

国内では新設事業が頭打ちになるなか、海外で新設事業を手掛けることは、若手社員への技術継承にもつながる。当面は、ODAによる得意分野の橋梁を中心にして受注拡大に取り組んでいく方針である。

 

                                (2019年1月時点)