2019.04.17

Vol.8  株式会社 オオバ

 

ワンストップサービスを提供

民間にも強みを発揮する


 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 建設コンサルタントの事業分野は実に幅広いが、得意分野を軸にして着実に業績を伸ばしている会社がある。

 

2018年12月に本社を東京都目黒区から千代田区神田錦町に移転した株式会社オオバだ。

 

主な市場である土木分野は公共事業が多くを占める中で民間に強く、企画から計画、調査、設計、施工管理、維持管理までのワンストップサービスの提供を特徴としている。

 

 

 

   得意分野を軸に事業を拡大

 

 社名のオオバは、創業者である大場宗憲氏の名に由来する。勤務していた鉄道省(現:国土交通省)を退職して1922年に設立。鉄道建設で培った測量技術を活かして測量から区画整理、さらには街づくりへと業務を拡大していった。しかも民間企業からの受注が多く、現在のオオバならではの強みにつながっていった。

 

売上高の推移を見ても3割以上を民間が占める。創業後の1932年に三井財閥のグループ企業から都内の宅地造成事業を一括受注したのを皮切りに民間からの依頼が増え、デベロッパーや大手建設会社から受注するケースが増加していった。取引先も通信から自動車、鉄道、流通など幅広い。

 

総合建設コンサルタントの中では大手とは言えないまでも都市計画や地方計画関連の売り上げはトップ、創業以来の得意分野である測量部門でも主力業務としている他社に交じってトップ5に名を連ねている。

 

大規模な橋梁や道路、鉄道、港湾、空港など新規の大型プロジェクトを主に手掛けている総合建設コンサルタントだが、オオバは一線を画し、得意な分野を中心にして地道に成長を続けてきた。

 

代表例が企画から維持管理までのワンストップサービスである。この一貫体制を築いたことでオオバは都市計画部門で業界トップになったとも言える。大規模宅地開発や鉄道の延伸に伴う駅前開発、さらに再開発といった街づくりである。

 

 

 

 

ここで多くの場合、まず手掛けるのが土地区画整理事業である。住宅や商業施設、道路、公園などを整備するために測量をして新たな区画を計画する。土地所有者との粘り強い交渉が必要であり、合意を得るまでに長期間掛かることもある。行政との折衝や許認可の手続きなど業務は多岐にわたる。

 

総合力によって、これらの一連の業務をこなし、いわば事業実施に向けたお膳立てをする。これらの実績が評価されて、受注を伸ばしてきた。

 

の強みを発揮したのが、東日本大震災の復興事業である。津波により壊滅的な被害を受けた街を再生する。高台に移転するという事業もあり、いずれも住民との交渉が求められていたが、従来から培ってきたノウハウを活かして復興を支援した。

 

 

女川駅前レンガ道周辺地区

女川町(空撮)

 

 

 

社長を本部長とする災害復興事業本部を設置、宮城県・岩手県内を中心に現地に事務所を開設。本社や全国の支店などから100人以上の技術者を派遣するなどの対応策を取ったのである。

 

この支援体制は、2016年に発生した熊本地震でも生かされた。被災状況の調査から復興計画の作成など、かつては実績のなかった熊本県内の自治体からも受注。復旧・復興関連の売上高は業界トップとなった。

 

 

熊本益城町被災時(2016年)

熊本益城町2年後(2018年)

 

 

 

   創業100周年に向け業績をさらに向上

 

オオバは、2022年に創業100周年を迎える。売上高は右肩上がりで、2017年5月期の売上高は150億円と2012年に比べて1.5倍に伸びた。

 

100周年に向け、さらに受注を伸ばすべく、原動力となる技術士等を増やし、技術力を一層強化していく。

 

近畿圏・中部圏を中心とした道路整備に伴い、工業団地や倉庫、物流施設、さらに住宅や商業施設などの事業化が進む。大規模な土地区画整理事業を伴う場合もあり、強みを活かしてこれらを手掛けていく一方で、インフラの長寿命化やアセットマネジメント、生産緑地対策にも取り組んできた。

 

 

プロロジスパーク京田辺

 

 

猪名川プロジェクト

 

 

 

例えば国立大学では、建築物のほか上下水道、道路などのインフラについて、長寿命化の行動計画を策定した上で、個別施設についての計画を2020年度までに策定することが文部科学省のインフラ長寿命化計画によって定められている。

 

私立大学でも施設の老朽化が進んでいるケースが少なくない。さらに、インフラ全体については、国から自治体まで長寿命化が共通の課題になっている。

 

 

 

 

特に大学や自治体では、計画策定の専門技術を有しない場合が多く、これを支援する業務を展開してきた。

 

公営住宅や下水道、橋梁のほか、公共施設の総合管理計画、大学のキャンパス整備では東京大学や沖縄科学技術大学院大学などの実績がある。

 

主に民間を対象にした「土木管財」と呼ぶ事業も展開している。土地所有者にとっては、管理地や遊休地の維持・管理が大きな負担になっているケースが少なくない。

 

そこで、土地の現状把握や測量、ボーリング調査から敷地内のインフラの管理まで総合的なサービスを提供している。

 

 

 

   ノウハウを活かして支援する

 

地震やゲリラ豪雨など増加する自然災害に対しては、アセットマネジメント・ソリューションサービスを実施している。

 

被害を最小限にするため施設を調査して評価し、災害に備えた保全計画を提案するものである。

 

事業継続計画(BCP)の一環として、いち早い業務の再開を可能にする。事前の調査によって老朽化した施設を把握し、有効な対策と管理により維持管理コストを削減することにもつながる。

 

主に都市近郊の営農問題に着目したのが、生産緑地対策である。2015年に「生産緑地パートナーズ」と呼ぶ事業部門を立ち上げた。

 

   

 

 

 

農業を続けることを条件に税の優遇を受けることのできる市街化区域の農地が生産緑地である。しかし税の優遇には期限があり、後継者も減少している。もし農業をやめれば、優遇が受けられないばかりか、遡って課税されることになる。

 

そこで、区画整理によって、所有地内に分散していた農地を集約化して、例えば農業を続けていかない区画には住宅やマンション等を建設する。

 

資産価値が高まり、相続対策にもつながり、先祖から受け継いだ土地を有効に活用できる。

 

公共から民間、そして個人の営農者まで対象は幅広く、事業は拡大し、売り上げも増加し続けている。

 

移転した新オフィスは、地下鉄神保町駅からわずか数分とアクセスが向上し、働き方改革を念頭にした職場環境を実現。創業100周年へのさらなる躍進に向けた新たな拠点として機能している。

 

                                (2019年4月時点)