水位計・セルラー通信・クラウドが一体となった水位遠隔監視システム
NETIS:KT-200122-A
簡易無線水位計測サービス
アムニモ株式会社
気候変動の影響による大雨や局地的な豪雨による河川氾濫のリスクが高まっている。また
都市化が進み、地下施設の浸水被害も増えている。一級河川のように国が直轄で管理する河
川では、ソフトとハードの両面から水防対策が進められているが、市町村が管理する準用河
川や農業用ため池などでも氾濫が頻発し、安全かつ簡単に水位計測できることが求められて
いる。
水位計の設置には電源の確保が必要となり、そのための工事も発生する。設置しても雨が
降るたび現場に駆けつけなくてはならず、時には危険を伴うこともある。遠隔監視システム
の導入は初期費用が高いことも課題だった。このような課題を解決するために誕生したのが
、アムニモ株式会社が提供する「簡易無線水位計測サービス」である。水位を感知するセン
サの設置からデータの取得、見える化、運用までの必要な機能がオールインワンになったサ
ービスで、素早くリーズナブルに開始できることができる。
水位計(約1.5kg)+送信BOX(約2.0kg)
電源工事や通信工事が不要 |
これまでのシステムと大きく違う点は、電源を外部からの供給から内蔵バッテリーに変え
たことにある。さらに通信方法を特定小電力無線局や簡易無線局等の無線通信から公共回線
を用いた通信に変更した。これにより、電源工事や通信設備設置のための工事が必要なくな
った。
水位センサとケーブル、送信ボックスで構成されている無線水位計を設置し、スイッチを
入れればすぐに水位計測ができる。計測したデータは携帯電話回線を通じてクラウドに送信
され、PCやスマートフォンで、いつでも遠隔から閲覧できる。設定した警戒水位に達した場
合、もしくは警戒水位よりも水位が低下した場合は、アラートメールが送信される機能もあ
る。計測したデータはCSV形式でダウンロードもでき、データの記録や分析などに活用する
ことも可能だ。
■従来技術(テレメータ装置)
■従来技術からの主な変更点
・電源供給が不要で内蔵電池で完結
・通信方法を無線通信から携帯網+クラウドの構成に変更
・安定性と省電力性に優れた新センサを開発
サブスクリプションサービスで初期投資ゼロ |
アムニモ株式会社は、産業用IoT技術を活用したサービスを提供するため、横河電機(株
)の子会社として2018年5月に発足した。水位計などの機器を含め、データ取得から運用ま
での基本サービスをパッケージ化し、サブスクリプションで提供している。同様のシステム
を導入すると数百万円規模の投資が必要になるが、初期投資なしで月額3万円から利用でき
ることは画期的だ。また利用したい期間だけ利用できるため、工事現場の水害予防などにも
活用されている。データ経路の状況やセキュリティの状態も24時間監視されているので、安
心して利用できる。
発電所やプラントなどで使用されている高精度な水位計 |
水位計測で使用されている圧力センサは、横河電機(株)が独自開発し、大型プラントや
発電所などで使用されている「シリコン振動式センサ」を電池で駆動できるようにしたもの
。測定値がドリフトせず、長期に安定したデータ取得が可能となる。また必要消費電力も低
減でき、内蔵バッテリーで約1年稼働できる。内蔵バッテリーによる電源供給、公共回線を
用いた通信に変えたことにより、電源設備や通信設備の設置を省略することができ、経済性
の向上、工程の短縮、施工性の向上も図れる。
ため池や河川工事などでも導入 |
2020年のサービス開始以来、河川や用水路、ため池などの水位監視、河川工事や下水道
工事における安全対策、さらに工場の浸水予防監視、地下道(トンネル)や地下施設等にお
ける浸水監視など、さまざまな分野での活用が始まっている。また山形県では、常設してい
る危機管理型水位計が機能しなくなった場合の代替えとして、この簡易無線水位計測サービ
スが利用された。
スマホ画面の一例(ユーザーにて自由にカスタマイズ可)
水位計、セルラー通信、クラウドが一体となった水位遠隔監視システムをサブスクリプシ
ョンで提供する「簡易無線水位計測サービス」により、無線水位計の調達・調整、通信契約
、クラウド上の監視画面準備などの付帯作業なしで水位計測の利用が開始でき、現場業務の
効率化が図れ、コストの軽減、現場作業員の安全確保が図れる。水位計測器を安全に接続し
、管理し、監視する仕組みとして、自治体や企業などから大きな期待を集めている。
■設置事例
ため池 河川
水位観測所 調整池
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